夜が明けた、でも私はまだ昨日にいる


緊急事態宣言が解除され、日本はものすごいスピードで元の世界に戻ろうとしていた。几帳面にステイホームをしていた私は、そのスピードに少し困惑していた。

 

数ヶ月続いているテレワークに慣れることはなく、頭は疲れているのに体は疲れておらず、眠りにつけない日々が続いていた。

 

目が冴えたまま部屋の天井を見つめていると暗闇の中の暗さにだんだん慣れてきて、カーテンレールや火災報知器の形もはっきり見えてくる。そしてそのままカーテンの隙間から朝日が差し込み、鳥の声や新聞配達のバイクの音が聞こえ出す。

 

私はまだ今日を終えるための睡眠という工程を経ていないのに、外界はもう夜を越えて朝を迎え、明日になってしまった。

 

その光景は、世間のスピードについていけない今の私の状況そのものだと感じ、シャッターを切った。


2020.07

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