影をまとう


私達の人生には常に影がまとわりついている。


影は影の中に在るものを侵食していき、覆い重なってどんどん大きくなっていった。

まとわりつく影から逃れようと彷徨い、「いつか解放される」そう望みながらも諦めが側に居座り続けている。

影に依存し、影しか見えない状態のまま歳だけを重ねた。


『光を与えられない人間はどうすればよいのだろうか』


私達はそれぞれの痛みと向き合い、そのルーツを探し、なぜ影をまとうようになったのか、その成り立ちを辿ることにした。


影と光、その本質を見つめていく中で、私達は無意識のうちに影ばかりを見ていることに気が付いた。

影と光は表裏一体であるのに、光の存在を認識していなかった。

私達にとって光を見つけることはそれほどまでに難しいものだった。

そのことに気が付いた頃には何も残っていなかった。


しかし、影の中には光が存在する。

その光の存在を思い出した私達は、これからは影と光が混在する中で生きていく。


2024.02